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2013年04月18日

奄美の奴隷制度における悲恋物語

 奄美は琉球王国、その後は薩摩藩の支配を受けます。 薩摩藩の統治を受けてから奄美の苦しい黒糖地獄が始まり、その中で格差社会が生まれ、ヤンチュ(家人)という債務奴隷ができたようです。 ヤンチュ(家人)という隷属形式の中でうまれた悲恋物語があり、これを物語る「カンツメの碑」が瀬戸内町と宇検村の境の峠に建っています。 この悲恋物語は以下の通りです。

「カンツメは今から約180年前、名柄(宇検村)の豪農の家に近くの村の須古から「ヤンチュ」として売られていったのである。
 もともと美人で頭のいいカンツメは同じヤンチュ達の中でもひときわ目立った。他のヤンチュ達は彼女の美しさをねたみ、よく意地悪をした。
 しかし、そこの主人は、カンツメが来たときからその美しさに気をひかれていたので、彼女をかばうことが多かった。
 飯炊きや草刈り、たき木とりが彼女の仕事だったが、陰日向なくよく働いていた。 そんなあるとき、久慈部落の書記をしている岩加那が名柄の豪農の家に立ち寄った。岩加那は美青年で三味線と歌が得意であった。 やがて宴席で歌が始まり、歌の上手なカンツメも呼ばれて、岩加那の歌の相手をするように言われ、心をこめて歌った。 岩加那もカンツメの歌のすばらしさに魅かれ、すでに二人の気持ちは通じるものがあった。 カンツメにすれば毎日のつらい生活のなかでその日ほど嬉しい日はなかった。
 この日をきっかけに二人はいつか相思う仲になり一日の仕事が終わると、夜毎、久慈と名柄のあいだに位置する佐念山の小屋で密会をかさねるようになった。
 月はその青い光りをあたりの樹木や芭蕉の葉の上に降り注ぎ、切々と天にもとどく二人の歌声は、彼ら自身の魂をもとかしてこの世のものとも思われぬものがあった。
 やがて二人の仲はヤンチュ仲間に知れ渡り、主人夫婦の耳にも入ってしまった。女主人はしっと深く気持ちの激しい女であった。その女主人によってカンツメはすさまじいせっかんを受けた。
 素裸にされ、焼け火箸をあてられるなど残忍なものだった。カンツメはその場に気を失ってしまった。
 それでも女主人はあくる日にはカンツメをたき木とりに山に行かせた。
 薪を取り終えた他のヤンチュ達が山を下りた後もカンツメは一人山に残り、岩加那との思い出の場所、佐念山の小屋に行き身装束を整え、年老いた郷里の両親と、心もちぎれるほどに愛しい岩加那に感謝と永遠の別れの祈りを残して、自らの帯で首をくくって短い生涯を終えたのである。
 その夜、岩加那はいつものように三味線片手に佐念山に行きカンツメを待っていた。カンツメはいつもより沈んだ顔をしてやってきた。二人は楽しく歌った。時間のたつのは早く、夜明けを知らせる山鳥の羽ばたきが二人をいらだたせた。別れにカンツメはもう一曲歌った。
 『あかす世や暮れて汝きゃ夜や明けり、かふ節ぬあればまた見きょそ‥‥』と、歌い終わるとカンツメはす~っと姿を消してしまった。
 岩加那はあたりをさがしまわり、頭上にカンツメの亡骸を見つけたのである。
 その後、名柄の主人夫婦は亡霊にとりつかれて変死し、豪農の家は没落した。」
「カンツメの碑」は佐念山にあります。 機会があったら訪ねてみられては。

奄美の奴隷制度における悲恋物語
奄美の奴隷制度における悲恋物語


「ウラトミ伝説」も薩摩藩時代の悲しい話もあります。
ウラトミ伝説に伴うムチャカナの碑


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Posted by yamachan at 17:50 │歴史
この記事へのコメント
やまちゃんブログ紹介ありがとうございます。
あまりにも良く紹介いただき赤面です。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by yamachanyamachan at 2013年04月19日 22:08
こんばんは!
yamachanさんのブログ、紹介させていただきました!
ありがとうございます・・・
また、当農園のブログをリンクして頂きありがとうございます・・・

今日の記事の「カンツメの碑」のお話
全く知りませんでした。
他の記事も読ませていただきましたが、知らないことばかりで・・・
勉強になります。
またちょくちょくよらせていただきますね!
Posted by かがわ農園 安美 at 2013年04月18日 21:57